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時代と共に、音楽を取り巻く環境は大きく変わるんですね。
先日テレビで平成の30年間におけるヒット曲のベスト30曲という企画をやってました。

何人かの今どきのミュージシャンの人たちが選んだというものを流していましたが、不思議に思ったのは、何人もいるゲストのだれもが、選ばれたランキング曲をまるで予測できないでいるという点です。

次にどんな曲が出てくるかを、例えあてずっぽうにでも曲名が出てこないのです。いったいそれってどういうことなんでしょうか?

みなさん、平成期のどこかで青春時代を過ごされた人たちにおいてそうなのですから、昭和世代の私などには謎の現象としか言いようがありません。

■もしかして、同世代なのに知っている曲がそれぞれ別々で、まさに四分五裂しているのか?

「同時代、同世代であっても多数が共有している歌がなく、それぞれ好きな曲やジャンルが別々で、他の人の興味関心には、それこそ興味がない」という状況か?

今のところ、これが私の仮説です。そういえば、1998年生まれの我が家の娘に聞いてみても「そんな曲知らない」という返答がよく返ってくることが多いのも解る気がします。

例えば学校の文化祭の出し物でその歌を歌ったことがあるとか、卒業式で使われた曲で練習したことがあるとか、何らかの共有体験がなければ世代としての共有が生まれない時代なのでしょうか?

メディアの存在性が大きく様変わりしたことが原因なのでしょうか?私のような昭和世代で1970年代に青春時代を過ごした者にとってはその変容に目を見張るものがあります。

かつては、大きなメディアであるテレビとラジオが音楽を流し、そこで得た情報を基に、私たちはレコード屋さんに走ったものでした。

テレビ・ラジオで流される歌謡曲は大きく国民的に共有され、シングルレコードが30万枚も売れれば、もう日本中誰でもが知っているという状況でした。

テレビで流れ、ラジオで流れ、街中の繁華街など至る所で流れる状態ですから、誰もが半ば強制的にどこかでは耳に入るという環境でした。

また、その当時にブレイクしたフォークと呼ばれるジャンルの数ある曲は、私たちは、ほとんどがラジオの深夜放送で情報を仕入れたものです。そのお陰で同世代の人が同時的に音楽を共有できたという面もあります。

ですから、私たちは今でも時々発売される「フォーク全集的な10枚組CD」などのほとんどの曲についてそのメロディがイメージできる状況です。

いまの若い人たちにとっては、きっかけとなる音楽の情報はテレビやラジオではなく、いろいろな音源がそれぞれの好みによっていろいろあるという状態でしょう。

それが、同世代の同時的な共有を通過してのものではない、とてもプライベートな行為として孤独な実態なのでしょうか。人それぞれのきっかけが、あるときある偶然のもとに発生した場合にのみ、その曲と関りを持つことになる。そこに大抵の場合、他者は介在しない状態での始まりがあるのでしょうか。

昔は、30万枚も売れた曲は多くの人が知っていました。しかし、今は200万枚売れても、私のように知らない歌は知らないままという結果です。

私は、この変容のスゴさに正直戸惑っている世代です。でも、60年代・70年代に経験した高度な音楽性の体験は以後、音楽の基準的なレベル判定の装置として、胸の中に生きています。

■音楽レベルは時代と共に進化したのか、それとも退化したのか?

時代的に私が青春時代を過ごしたこの15年間ほどの時期というのは、ロックやポップスなど大衆音楽が、黎明期から成熟期へと一気に駆け抜けた時期だと思います。

1960年ビートルズがデビューし、1962年の「ラブ・ミー・ドゥ」がピットすると彼らは瞬く間に世界中のアイドルへとのし上がっていきました。

62年にはローリングストーンズ、ボブ・ディランもデビュー、あとは群雄割拠状態で様々なバンドが登場しました。そして、その多くが今や伝説的なバンドとして歴史に名を残しています。

それから半世紀以上が過ぎた今、年代と共に音楽そのものは進化したのでしょうか? 音楽の様々な機材は進化したことは間違いないですが、曲のメロディやアレンジなどが時代と共に向上したのかと言えば疑問が残ります。

例えば、ビートルズの数あるピット曲のメロディよりもさらにメロディアスな曲が過去30年間のうちにどれほどリリースされたかというと、とても当時を越えていないと思えるのは私だけでしょうか。

ビートルズの登場はたくさんのビートルズマニアを生み出し、ライフスタイルとしてのポップなカルチャ-が流行り、ついにはその世代がビートルズ世代と言われるほどになりました。

それだけ見ても当時、いかにインパクトが強かったかが分かると思います。映画や歌に今よりも相対的に大きな力があったのでしょう。

当時のベビーブーム世代(今でも最も人口の多い世代)、団塊世代とも言われた世代がこぞってビートルズの影響を受け、大学紛争などを経験し、高度経済成長の戦士として日本社会をけん引したということでしょうか。

世界的な音楽の流れは、その影響下にあるこの国の若者にも多くのアーティストを生み出しました。シンガー・ソングライターがたくさん登場したことです。その多くは今でも音楽活動を続けているアーティストがたくさんいます。

私から見て、この世代(団塊世代)は一番音楽や音楽活動を楽しんだ世代だと思います。その意味で羨ましさを感じます。

■1960~1975年、この時代は、名バンドやシンガーたちの宝庫でした。

行きがかり上、例としてビートルズを引き合いに揚げましたが、それはビートルズが音楽における世界共通言語的なものであるためです。多くの人に手っ取り早く伝えるのに便利だからです。私が、特にビートルズマニアで詳しいわけではありません。

でもここまで書き進めてきて、見る人によれば「シニアオヤジのボケの始まり」的な読み取り方をされはしまいかと、恐怖に慄いている私がいます。

慌てて、スマホで「ヘビメタ 歴代バンド 最強」と検索してみました。結果は「歴代の偉大なバンド」として以下のような結果です。年代の分かる⑯位までを載せてみました。

<活動を始めた時期別>
1960年代:
①レッドツェッペリン(68年~)
②ブラック・サバス(68年~)
③ジミー・ヘンドリックス(66年~)
⑧ザ・フー(64年~)
⑮ピンク・フロイド(67年~)
⑯クリーム(66年~)

1970年代:
④AC/DC(73年~)
⑦ヴァン・ヘイレン(72年~)
⑩キッス(72年~)
⑪エアロ・スミス
⑫セックス・ピストルズ
⑬クイーン

1980年代:
⑤メタリカ(81年~)
⑨ガンズ・アンド・ローゼス

1990年代:
⑭サウンドガーデン

1960年代・70年代に傑出したヘビメタバンドが集中していることが分かります。最もその当時は「ハードロック」と言っている時代でした。

続いて、ヘビメタに限定せずに調べて見ました。

■ローリングストーン誌の「最も偉大なアーティスト100」

(※2011年選出)から、取りあえずベスト50を拾ってみました。もちろんランキングがすべてではありませんが、私の主観性ではなく、客観的資料としてご理解ください。

1. ビートルズ
2. ボブ・ディラン
3. エルビス・プレスリー
4. ローリングストーンズ
5. チャック・ベリー
6. ジミ・ヘンドリックス
7. ジェームス・ブラウン
8. リトル・リチャード
9. アレサ・フランクリン
10.レイ・チャールズ

11. ボブ・マーリー
12. ビーチ・ボーイズ
13. バディ・ホリー
14. レッド・ツェッペリン
15. スティービー・ワンダー
16. サム・クック
17. マディ・ウォーターズ
18. マーヴィン・ゲイ
19. ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
20. ボ・ディドリー

21. オーティス・レディング
22. U2
23. ブルース・スプリングスティーン
24. ジェリー・リー・ルイス
25. ファッツ・ドミノ
26. ラモーンズ
27. ニルヴァーナ ★
28. プリンス
29. ザ・フー
30. クラッシュ

31. ジョニー・キャッシュ
32. スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ
33. エヴァーリー・ブラザーズ
34. ニール・ヤング
35. マイケル・ジャクソン
36. マドンナ
37. ロイ・オービン
38. ジョン・レノン
39. デヴィット・ボウイ
40. サイモン&ガーファンクル

41. ドアーズ
42. ヴァン・モリソン
43. スライ&ザ・ファミリー・ストーン
44. パブリック・エナミー ☆
45. バーズ
46. ジャニス・ジョプリン
47. パティ・スミス
48. Run-DMC ★
49. エルトン・ジョン
50. ザ・バンド

51. ピンク・フロイド
52. クイーン
53. オールマン・ブラザーズ・バンド
54. ハウリン・ウルフ
55. エリック・クランプトン
56. ドクター・ドレー ★
57. グレイトフル・デッド
58. パーラメントとファンカデリック
59. エアロ・スミス
60. セックス・ピストルズ

61. メタリカ ★
62. ジョニ・ミッチェル
63. ティナ・ターナー
64. フィル・スペクター
65. キンクス
66. アル・グリーン
67. クリーム
68. テンプテーションズ
69. ジャッキー・ウィルソン
70. ポリス

71. フランク・ザッパ
72. AC/DC
73. レディオ・ヘッド ★
74. ハンク・ウイリアムス
75. イーグルス
76. ザ・シュレイズ
77. ビューティー・ボーイズ ★
78. ザ・ストゥージズ
79. フォー・トップス
80. エルビス・コステロ

81. ドリフターズ
82. クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル
83. エミネム  ★(1990~)
84. ジェームス・テイラー
85. ブラック・サバス
86. 2パック(トゥパック・シャクール)★
87. グラム・パーソンズ
88. ジェイz(Jay-Z)★
89. ヤードバーズ
90. カルロス・サンタナ

91. トム・ペティ
92. ガンズ・アンド・ローゼス ★
93. ブッカー・T.&the MGs
94. ナイン・インチ・ネイルズ ★
95. レーナード・スキナード
96. ダイアナ・ロス&シュープリームス
97. R.E.M ★
98. カーティス・メイフィールド
99. カール・パーキンス
100. ト―キング・ヘッズ

https://www.rockmusicdaily.com/

ざっと、俯瞰してみるだけで分かることは、やはり60年代・70年代のアーティストが多いということですね。80年代以降のアーティストは(★印の)12人/100人中で最高順位は27. ニルヴァーナです。以下、48位、56位、61位、後は70位~100位の間に集中しているようです。

80年代以降のバンドやシンガーは一口に言って低調です。今後の活躍が期待されることではありますが、上位アーティストのランクが揺らぐ気配は感じられません。

ビートルズ、ボブ・ディランは60年代後半から70年代の世界をけん引したアーティストです。音楽だけでなくライフスタイルや生き方・文化をも含めて影響を及ぼしたものです。

それにしても、驚いたのは「この人、このグループがこの順位?」という点です。
35. マイケル・ジャクソン
38. ジョン・レノン
40. サイモン&ガーファンクル
49. エルトン・ジョン
50. ザ・バンド
51. ピンク・フロイド
その他多数

■結論として言えること

60年代~70年代のアーティストのレベルがとても高かったということの帰結として、その時代の音楽に影響を受け、音楽の道を目指した多くの若い人たちの音楽レベルをも必然的に引き上げる事となったということだと思います。

ビートルズやボブ・ディラン、そしてその同世代のアーティストから、時代的に遠く離れ、彼らの音を聞かずに音楽を始めてしまった人たちほど、音楽性のレベルの低さが伺えるということかも知れません。

これらは、私の一つの「仮説」です。この仮説を覆すほどのレベルの高い曲を、これからたくさんリリースしてもらうことこそが、私の最も期待していることです。

とは言っても、私の専門とするところは音楽評論ではありません。ごく表面的な知識しか持ち合わせていない点も多くあります。ビートルズやディランのマニアということでもなく、外国アーティストに至ってはほとんど白紙かも知れません。このブログは主に歌詞(日本語曲の)の有り様やその優劣を問うことを目的としているものですから。

■日本の偉大な音楽アーティスト、歴代ランキング(参考資料)

参考までに、戦前からのジャンルを問わない形での(独断的な)偉大なアーティストランキングをネットで拾いましたので参考のために見てください。

1.サザンオールスターズ(日本語から柔軟なビートを引き出す。)
2.美空ひばり(希代の歌唱力。戦後日本の歌謡界のトップに長年君臨)
3.藤山一郎(戦前・戦後を通じ、日本の音楽史に残るヒット曲)
4.中島みゆき(時代を超えた「普遍性」の高い曲つくり。歌う一流音楽家。)
5.松任谷由実(日本の「ポップスの女王」、通称ユーミン)
6.細野晴臣(伝説のロックバンドはっぴぃえんど、世界的ブームを巻き起こしたYMO主催者)
7.ピンク・レディー(歌手二人組。ビックヒットを連発)
8.沢田研二(グループサウウズ「タイガース」の4メンバーから、ソロとなりヒットを連発)
9.山口百恵(実働8年足らずながら、芸能界に大きな足跡を残したスーパースター)宇崎竜童・阿木曜子夫妻の曲でヒットを連発。
10.吉田拓郎(1970年代の日本のポピュラー音楽に大きな変革をもたらしたシンガー・ソングライターというスタイルの先駆者の一人。「作詞作曲はプロの作家がするもので、歌手は歌うだけ」という古い構造を変えた。

11.森進一 (歌手)
12.はっぴぃえんど(1969年結成。メンバーは細野晴臣・大瀧詠一・鈴木茂・松本隆。日本語のロックのパイオニア)
13.B’z (心にしみるギターと歌詞の斬新さとライブパフォーマンスで急速にファンを増やした)
14.井上陽水(独特な陽水流音楽のマルチアーチスト)
15.ドリカム(アーティスト)
16.北島三郎(歌手)
17.RCサクセション(忌野清志郎主催ロックバンド。物言うアーティスト)18.ミスチル(アーティスト)
18.ミスチル
19.坂本龍一
(YMOのメンバー。RCサクセションの忌野清志郎とのコラボ。ハリウッド映画「ラストエンペラーの音楽」など多彩。政治的にも物言うアーティスト、愛唱「博士」)
20.松田聖子(歌手)作詞:松本隆 作曲:呉田軽穂(ユーミン)のコンビで多くのヒット曲を連発

 21.氷川きよし(歌手)
 22.AKB48
 23.五木ひろし(歌手)
 24.安室奈美恵(歌手)
 25.小田和正(アーティスト。オフコース(グループ)からソロに)
 26.山下達郎(美しいメロディと強い音を目指す、ロックアーティスト。50年代~60年代のオール            ディーズのマニア。FMラジオ番組で長く紹介。)
 27. 宇多田ヒカル(アーティスト)
 28. 矢沢栄吉 (ロックアーティスト)
 29. 小室哲哉(アーティスト)
 30. ザ・スパイダース(70年代グループサウンズ)

日本の音楽アーティスト歴代ランキング(歌手、グループ)令和、平成、昭和
日本の偉大な音楽アーティストの歴代ランキング。歴史に残る歌手、グループ、ミュージシャン、バンド、シンガー・ソングライター、アイドル。男性と女性。ジャンルは邦楽、JPop、歌謡曲、演歌など。20世紀の戦前・戦後と21世紀。明治、大正、昭和、平...

 

喜多条 誠氏(作詞家・故人)

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