昭和歌謡から、反戦フォーク、コミックソング、お色気ソングまで
みなさん、放送禁止歌というものについてご存知ですか?
このテーマについて書くのは2回目ですが、今回は少し角度を変えて書いてみます。「放送禁止歌」というのは正式名称ではなく、かつて存在したという民放連が密かに決めたと言われる「要注意歌謡曲」に始まるものです。
これら、「放送音楽などの取り扱い内規」の最後の改定は、昭和58年でその5年後には改訂されず効力を失って消滅したはずなのですが、ところがどっこい、今現在もその亡霊は確かに生きていてこれらの曲がテレビやラジオのメディアで放送されることは特例の場合を除いてほぼありません。
念のために言っておきますが、この表現の自由の社会において基本的に放送を説明もなく自粛するということが、自由を尊重する国において許されるべきものなのかは、大衆の論議を必要とするものです。
それに加えて、今ではこれら放送禁止歌なるものは、公共の放送ではなくYouTubeによって、(ほぼ自由に?)聞くことが出来ます。それによって世の中に悪影響を及ぼしているという論議は聞いたことがありません。
なぜなのでしょう。それを確かめるためにあなたも実際に聞いてみてください。それらは面白くて笑えたり、考えさせられたりします。そして、中にはどうしてこれがと思うようなものもあります。
まず、指定された曲がたくさんあるのでその中からピックアップして、ごく一部を私の独断で紹介してみます。
■「放送禁止歌」私的なピックアップ
【あ行】
・網走番外地(高倉健) ※反社会的
・雨を見たかい?(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)※体制批判
・イエロー サブマリン(ビートルズ)
・イエローキャブ(山下達郎)
・五木の子守歌 ※被差別部落がテーマ
・イマジン(ジョン・レノン) ※体制批判
・イムジン河(フォーク・クルセダース)
・後ろから前からどうぞ(畑中葉子) ※性的表現
・S.O.S(ピンク・レディ)
・大島節(山平和彦)
・おそうじオバチャン(憂歌団) ※体制批判
・オー脳(泉谷しげる) ※体制批判
・その他
【か行】
・かごめかごめ
・君が代(忌野清志郎) ※反社会的
・金太の大冒険(つぼイノリオ)(コミックソング)
・くそくらえ節(岡林信康) ※体制批判
・黒いカバン ※体制批判
・その他
【さ行】
・山谷ブルース(岡林信康) ※山谷地区の状況に対する偏見
・自衛隊に入ろう(高田渡) ※体制批判
・しおふき小唄(窪園千枝子) ※性的表現
・支那の夜(渡辺はま子) ※「支那」がかつて中国に対する蔑称として使われていたことに寄る
・心中日本(長谷川きよし) ※「心中」の文言が問題視
・生活の柄(高田渡) ※曲中の「浮浪者」の文言が問題視
・セーラー服を脱がさないで(おニャン子クラブ)※性的表現
・戦争小唄(泉谷しげる) ※体制批判
・蘇州夜曲(渡辺はま子)
・その他
【た行】
・竹田の子守唄(赤い鳥) ※被差別部落をテーマにした歌であることが問題視された
・チューリップのアップリケ(岡林信康)※同上
・手紙(岡林信康) ※同上
・東京流れもの ※反社会的との指摘
・通りゃんせ
・時には娼婦のように(黒沢年男) ※「娼婦」の表現が問題視
・友よ(岡林信康)
・その他
【な行】
・その他
【は行】
・パフ(ピーター・ポール&マリー)※反戦歌
・悲惨な戦い(なぎら健壱)※力士の相撲の試合中のハプニングでまわしが外れて落ちるという話
・びっこの仔犬(加山雄三) ※「びっこ」という文言の言葉狩りのケースです。
・びっこの七面鳥(美空ひばり)
・びっこのポーの最後(友部正人)
・ブンガチャ節(北島三郎)※「キュッ キュッ キュッ」の部分が卑猥ということが問題とされる
・放送禁止歌(山平和彦)
・その他
【ま行】
・MILORD(エディット・ピアフ)
・その他
【や行】
・ヨイトマケの唄(美輪明宏)
・その他
【ら行】
・ルーシー イン ザ スカイ ウィズ ザ ダイアモンド(ビートルズ)※反社会的
・レッツ スペンド ザ ナイト トゥギャザー(ローリングストーンズ)
・その他
【わ行】
・その他
※森達也氏の著書「放送禁止歌」を参考にしました。
※民放連のこの「要注意歌謡曲」は何度も改訂されているので、ここに掲げた曲名が最後まで残ったとは限りません。ですから、どこかの段階でリストに載ったというものもたくさんあります。
※印で、明確な理由のあるものについては補足しましたが、「明確な理由」ということの意味が「正当な理由」であるという意味ではありません。むしろ、表現の自由との不整合や被差別部落の芸術性の否定など、多くの問題提起をしておきます。
さてみなさん、このリストを見てどう感じられますか?
「ヘーっ」とか、「ほーっ」とか、「えーっ」とか、「なるほど」とか、「どうして?」とか反応できましたか?
また、「知らなかった」とか「この歌知ってる」とかもあるでしょうか。何か、興味の湧いたものがあれば、さっそくYouTubeで聞いてみましょう。
自分の目と耳で確かめ、自分の脳みそで考えることをおススメします。ゲラゲラ笑えます。ほーっと考えさせられます。内容は様々ですから、様々に楽しんでください。
高倉健、ジョン・レノン、加山雄三、美空ひばり、ビートルズ、等々お歴々の方々がズラリと並んでいるのも面白いですし、フォーク畑の人たちの割合も多いです。
私的には、そのどちらにも興味あります。
因みに、ビートルズマニアではない私の浅い知識ですが、ルーシー イン ザ スカイ ウィズ ザ ダイアモンドの曲のタイトルがルーシーの「L」、スカイの「S」、ダイアモンドの「D」を取ってLSDという麻薬の名前であるとの解釈から来ているとのことだそうです。
事の真偽のほどは、詳しくは知りませんので、詳しい方があればよろしくお願いします。結構イケテル歌なんですけどねぇ。勿体ない。
つまりは、「表現の自由」というものと自粛コードというものは、いつかどこかでこすれ合うものであるということでしょうか。
かつてこの規制の対象とした歌は、歌謡曲からフォーク、コミックソングその他とても幅広く、具体的な内容と規制の相関関係は一つひとつ取り上げて論じないと見えてきません。
過去に遡って規制されたようなケースもあり、次回に機会があれば具体的な部分を提示しながらコメントしてみたいと思います。


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