ユーミンの1stアルバム「ひこうき雲」は時代を超えた

ユーミン物語

ユーミンの「ひこうき雲」は世代を超えた歌

ユーミンの40作近いアルバム数のなかで最初のアルバムが「ひこうき雲」で、その第一曲目が同名の「ひこうき雲」という歌です。

このアルバムは、1973年11月のリリースで、その制作に関わったアレンジをはじめとするスタッフ陣がもう半端なくスゴイのです。

そのスタッフとは、細野晴臣、鈴木茂、松任谷正隆、林立夫の4氏であります。彼らのうち数人がテレビで一同に集まって、その時の8トラックの原板テープを聞きながらあれこれと思い出談議がありました。

松任谷由実という世紀のビックアーティストが誕生した、そのファーストアルバムの作成秘話という意味では、これまたものすごいことだったのでしょう。

以下、参加アーティストを紹介します。

・ピアノ:荒井由実(結婚前の姓)
バックをキャラメル・ママ(後のティン・パン・アレー)が務めた。
・ベース:細野晴臣
・キーボード:松任谷正隆
・ギター:鈴木茂
・ドラム:林立夫
・ナイロン・ストリングス・ギター:細野晴臣(A-1,A-5)
・パーカッション:松任谷正隆(A-3)、鈴木茂(A-3)、林立夫(A-3,A-5,B-4)、小原礼(B-4)
・バンジョー:松任谷正隆(B-5)
・フルート:宮沢昭(A-2)
・コーラス:松任谷正隆(A-2)、Singers Three(A-3)、荒井由実(B-4)
・テナー・サックス:西条孝之介(A-5)
・スチール・ギター:駒沢裕城(B-2,B-5)
ハンドクラッピング:レコーディング・スタッフ(B-1)

こんなに超一級のアーティストたちに囲まれて、ユーミンは最初から恵まれていたんです。

【ひこうき雲】

作詞・作曲:荒井由実

白い坂道が空まで続いていた
ゆらゆらかげろうが あの子を包む
誰も気づかず ただひとり
あの子は昇っていく
何もおそれない、そして舞い上がる
空に憧れて
空をかけてゆく
あの子の命はひこうき雲
高いあの窓で あの子は死ぬ前も
空を見ていたの 今はわからない
ほかの人にはわからない
あまりにも若すぎたと ただ思うだけ
けれどしあわせ
空に憧れて
空をかけてゆく
あの子の命はひこうき雲
空に憧れて
空をかけてゆく
あの子の命はひこうき雲

歌詞内容の分析をしてみましょう

私は、この詩を「空間的広がり」の例として取り上げてみました。でも書き出してみて気づいたのですが、当初「ひこうき雲」という強いキーワードに引かれて空間的広がりを感じたのですが、よく読み込むと、全体が心象風景としての空間的広がりだということがわかりました。

最初の2行の
白い坂道が空まで続いていた
ゆらゆらかげろうが あの子を包む

はユーミンお得意の情景描写としての表現から入るという手法ですが、それさえも心象の中にある「白い坂道」であり、「かげろう」であるように思えます。しかも、空に昇っていくような空間的広がりを感じます。素晴らしいの一言に尽きます。

クラスメートの死という理不尽な出来事に遭遇して、ユーミンはひこうき雲に彼女の願いや命をなぞらえて託したということでしょうか。

そして、力強く空を行くひこうき雲になって夢に向かって突き進むというようなイメージでしょうか。

人一人の死という重い出来事なのに、なぜか爽快な感じがして希望の持てそうなイメージの先行する歌に仕上がっています。ユーミンはクラスメートの旅立ちを明るいものとして、彼女に捧げたかったのでしょうか。その励ましの気持ちを歌にしたのだと思えてなりません。

時代を超えて蘇る名曲

この歌は、後にスタジオジブリ制作アニメ「風立ちぬ」の主題歌として採用されました。2013年のことですから、宮崎駿氏の強い思いによるとは言え、40年の時を超えて新たな若い世代に向けて再提示されたと言うことになります。

私は、ある小学校の卒業式で、式が終了した後の見送りの場面でこの曲が流れたことを記憶しています。まったく違和感なく子どもたちは曲に乗って明るい顔で校庭の中庭を歩いていきました。

何せ、これはユーミンのファーストアルバムですから、この製作には一年近い期間がかかっているとのことです。まだ若い彼女の歌唱力が自分の作った歌についていけず、その練習で時間がかかったとも聞いたのですが、事の真相は解りません。アレンジャーや他のメンバーの完全主義がそうさせたのかも知れません。

このアルバム全体の10曲の出来はとてもよく出来ています。どうぞ皆さんも一度聞いてみて損のない作品でしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました