言わずもがなではありますが、BTSは2013年にビューした韓国発のアイドルグループとあります。7人組のボーイズグループで「防弾少年団」という韓国語の頭文字でBTSと言うのだそうです。何故このようないかめしい名前を付けたのかは私にはわかりません。ファンの人たちにはわかるのかも知れませんが。
ただ、彼らの歌の日本語歌詞を見る限りにおいては、「防弾少年団」の意味合いとは何も関りが見当たりません。いや、むしろそのような民族的な?ものは一斉封印されていて、「僕(私)と君(あなた)」だけの恋(愛)の歌のみが歌われています。
民族もアジアも社会的なことも、もちろん政治的な主張なども、すべては封印されていて無色無臭のニュートラルなイケメン男子たちのダンスパフォーマンスと歌だけです。
おそらく、この元々の手本となったのは日本のジャニーズ事務所に所属するいろいろなユニットアイドルグループの存在があったからであろうということは想像出来ます。そのアイドルグループというものの究極の形を作って、アジア色も韓国色もすべて封印して、英語で歌うグループに特化した形をとってみたのだと思います。
はじめから市場は英語圏を目指し、そこでどれほど通用するのかの国を挙げた実験的な試みであったとも言えるのではないでしょうか。20歳前後にデビューした彼らは、現在30歳前後でありアイドルグループとしては、そろそろ曲がり角に差し掛かるであろうことも考えられる時期です。
前置きをしておきますが、私は元々アイドルというものについてほとんど興味・関心がありませんので、どこかピント外れな文章になっているかも知れないという点については、予めご容赦ください。その上で、BTSにはたまたま日本語歌詞というものが存在しているので、以下のように少し詳しく見てみました。
RYSTAL SNOW【歌詞】
発売日/ Release date: 2017.12.06
Language: 日本語/ Japanese
雪積もるように 確かめているよ
君がくれたもの 生きてく勇気
あらゆる時間 越えて出逢ったんだ
それで How do we do? 果たせる?
この不確か状態 Love思ったより 世界は早くて
How we gonna change it?
We don’t know yet
でもきっと…(Eh) 愛、僕らの胸に uh yeah
(Eh) Slowly 響きだして君を抱き締めたい
消えてしまう前に もう一度
Ah どこまでも 舞い上がる Crystal
ねぇ何もいらないから
もう少しだけ 感じてたい
Can I touch your heart?
触れたくても すり抜けていく
Oh Someday… Someday…小さな笑顔が なぜか苦しい
How can I be closer uh…
この想いは何故 答えが出ない
How I am gonna find it?
どうやって?
Oh let me know曖昧な形ばかり Crystal Snow
報われない Story なんて もうムリ
Eh この手で変えてみせるのに(Eh) Surely 誓えるのに…
君を守りたくて
涙に変わる前に もう一度
願う程に 届かない Crystal
100年先になっても
次の一歩は君とがいい
Can I be your one?
星ひとつない雪の夜空
Oh Someday… Someday…もう二人は遥か遠い
一つのはずなのに
今では僕らを
彩る絵の具など
選べやしない黒い息も
深い君の白い霧も
I feel, I feel, I feel, I feelOh crystal snow, crystal snow
真っ白なその中で
君が僕を通り過ぎ
水になろうと胸でまだ流れてる
(奏でてる)
輝くもの全てに映る
光る君を見つめてる
待ってるさまたどこでも
会いたい嘘でも 握ってこの手を愛する温度が 溶け出す メロディ
確かな 温もりよ 永遠(とわ)に続け君を抱き締めたい
消えてしまう前に もう一度
叶えるため 舞い上がる Crystal
ねぇ言葉足りないけど
ありのままでも伝えるから
Can I touch your heart?
信じて欲しい 迎えに行くよ
Someday… Someday…It’s always you, It’s always you, crystal snow
(Let me see your smile, oh baby, eh)
■BTSの歌の歌詞の特徴
私のブログは、歌詞の分析をもっぱらとしているので、次のような日本語歌詞のある曲のうちの4つの歌詞を見てみました。
1.CRYSTAL SNOW
2.DONT LEAVE ME
3.FILM OUT
4.FOR YOU
ざっくりとした印象で言えば、4曲も見たのに、どの歌詞も内容の印象は金太郎飴の如く一色でした。
それは、男性から女性(しかも若い女性)への語りかけ調です。
その語りかけの内容は、男性から女性への「誠実な」(カギ「」つき)愛の言葉です。
ですが、これらのフレーズの言葉は、ガチャ面のブ男やイケイケ系のマッチョマンの発する言葉としては成立しない構成のフレーズです。そうです、これは「イケメン」であることが前提となっているからこその構成です。
「イケメン」+「愛の言葉の語りかけ」は、それを聴く女性の脳髄に恋人のことばのように届くのでしょうか。それこそが狙いだと思われます。
これは、ガチャ面の男がいくら甘く囁いてもダメです。イケメン男子が、ダンスをしながら君だけの為に唄っているというスタイルです。ですから、それと共に重要なことは、常にビジュアルな画像を見せながら行う(活動する)ことの狙いです。もしかするとそのビジュアル効果の方が半分以上はあるのかも知れません。
歌詞の分かりやすい構造としては、一人称と二人称の身でほぼ構成されています。そこには、第三者の登場はおろか、ニュートラルな情景さえも皆無で、二人だけの場面のみをシチュエ―ションとする描写を、語りかけと次の語りかけの間を繋ぐ形で歌詞が構成されています。
これは、若い女性に疑似恋愛を引き起こし、自分がイケメン男性に愛されるという心地よい錯覚を起こさせるためだけのファン増殖システムであると言えるでしょうか。
私のような第三者的立場の人間から見た時には、それははなはだ陳腐に映ります。いつの世も「恋は盲目」であり、なにを忠告しても無駄だとは思いますが、全ては詐欺師の甘言でこそあれ、この歌詞に見るべき詩的価値はありません。
もう一つ歌詞の特徴としては、日本語歌詞の合間に英語のフレーズが多用されているということがあります。これにも効果を感じます。それだけでフレーズの高尚さ感を演出できますから。
■「誠実」の意味
私は、敢えて誠実の言葉を「」付きとしたのは、この歌詞の本質とは、詐欺的甘言だからです。その意味で、現代とは男性が女性に媚びることで何とか生きている時代でもあるからでしょうか。
私は、何物にも媚びないことを良しとする詩論を展開してきました。
その「何物」とは、権威や権力ばかりでなく、常識や忖度、男性や女性などの異性に対しても媚びてはならないとする論理です。芸術はすべからく「こらえ性」の問題です。
■BTSの背景
韓国は日本と比べて人口が約半分ほどで、経済規模は半分以下の状況だと思います。聞くところでは政府の意向としては、音楽などの芸術分野で外貨を獲得しようとの戦略を取ってきました。その最高の成果がBTSだったのではないでしょうか。
ジャニーズ事務所などがそれと同様のことをやりたいと、どれほど思っていたかは知りませんが、エンタメ業界としては今後それも大いにアリでしょう。BTSにより見えてきたことは、アイドル路線としての黄金比的な演出により膨大な女性ファンを獲得するための法則が確立したということでしょう。
ダンスと歌と歌詞の黄金比を駆使して、その前提は清潔感のあるイケメンであることです。韓国というお国の特異なお国柄や民族的な部分はすべて封印して、ニュートラルなグローバルさのみを目指す、そんな戦略でしょうか。
■まとめます
①BTSとは明確にアイドル路線の最高峰として存在するものです。そのベースにある条件とはメンバーがイケメンであることです。ガチャ面faceではすべてが成立しません。
②それは、ダンスと歌と歌詞の黄金比による構成となっています。それをもって、女性ファン獲得のための自動システムと考えれば、最も納得のいくことです。
③なので、それは本質的に芸術指向とは似ていても非なるものとしての立ち位置だと考えています。
④韓流ドラマに世のお姉さん、おばさんたちが心を持って行かれてハマっているとのことが言われて久しいですが、この現象はそのアイドル版だと考えるとしっくりいくかも知れません。
⑤歌詞を専門として見極めた時には、その本質は女性ファン獲得のための恋愛詐欺的な世迷言です。詩的であることははじめから捨て置かれていて、女性の脳髄に響く甘い囁きのみが羅列されています。
⑥アイドル路線の宿命は、世の興味関心が新しいアイドルへと移っていくことですから、早晩年齢を喰った元アイドルは、路線変更を余儀なくされるということでしょう。
エンターテインメント業界全体の方向として、ビジュアル最優先の方向にあり、イケメンの見てくれと、パフォーマンスが受ければ良しとされてしまっている傾向があります。
歌詞に至っては、「降ったら雨で、照ったら晴れでしょう」的な馬鹿々々しいものでもOKで、目くじら立てて歌詞の詩性を追求すること自体が馬鹿々々しくなるような時代なのでしょうか。
そうであれば小説のような文字の世界と、歌の世界はますます乖離していくことでしょう。
それともう一つは、「日本語的ではあるけれど日本語には聞こえない。英語的ではあるけれど英語にも聞こえない。」そんな国籍不明のことばのような「音」だけの響きの歌が国境を越えて受けているようでもあります。
きゃりーぱみゅぱみゅ、然りでしょうか。表現の世界がアートからエンターテインメントへと逃避していく過程なのでしょうか?


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