秋元康氏、ラジオで語る
FMラジオで、作詞家・プロデューサーである秋元康氏のレギュラー番組がある。2月のその日には、GLAYのたくろう氏をゲストに音楽談義があり、主にイントロのスゴイ曲についての対談が行われていた。
秋元氏いわく、RCサクセション忌野清志郎氏の「スローバラード」についてイントロのピアノ部分が素晴らしいという話で対談が始まった。
「スローバラード」は、1976年にアルバム「シングルマン」に収録され、同時にシングルカットされてリリースされた曲であります。特にバズったビツグヒットというわけではありませんが、途中廃盤となるような憂き目に遭いながらも、熱いファンの思いに支えられてこの名曲は支持され続けて、今も生き残っているのです。
秋元氏は、イントロのピアノの美しさとともに、歌詞での「市営グランドの駐車場」というリアルな言葉選びに感心しきりでした。作詞家目線の琴線にも十分触れているということでしょう。
この曲は、前回の記事でyou tubeからURLを貼り付けておいたので、できれば聞いてみてほしいところです。そこでここでは、歌詞を引用しておきましょう。
「スローバラード」 RCサクセション 忌野清志郎
昨日は車の中で寝た
あの娘と手をつないで
市営グランドの駐車場
2人で毛布にくるまってカーラジオから スローバラード
夜霧が窓を包んで
悪い予感の欠片もないさあの娘の寝言を聴いたよ
ほんとサ 確かに聞いたんだカーラジオから スローバラード
夜霧が窓を包んで
悪い予感の欠片もないさ僕ら夢を見たのさ
とってもよく似た夢を
イントロ部分には、確かに印象的なピアノの旋律がいい感じで流れます。その良さはもう聞いてもらうしかないところです。
ここでは歌詞を見てみましょう。それほど長い詞ではありませんが、とても具体的な言葉で綴られています。具体的な表現なのに、この語数の少なさに歌詞が収まっているのには、それなりの訳があります。
始めの4行は、昨日の夜の様子を伝えています。
なにか、ほのぼのとした二人の関係が映像化されています。
そうです、二人の関係を映像に語らせているから、これだけの語数に収まっているのです。それも「市営グランドの駐車場」というリアルな表現に引っ張られて聞く人にとてもハッキリとしたイメージが伝わります。
思いの丈を一人称の言葉で語らせているわけではないのです。つまり、「思い」には基本的に映像がないので、そればかりで歌を作ると、どうしても語数が半端なく増えてしまいます。
おまけに全体が整わず、「パワーワード」が生きないわけです。
この歌に戻ってみれば、
カーラジオから スローバラード
夜霧が窓を包んで
悪い予感の欠片もないさ
「カーラジオから スローバラード」という表現はとても強い響きのあるリアルさでありながらも抽象表現ではありません。彼女と二人で車の中で毛布に来るまっているこの情景のなかで、とてもいいタイミングでその歌が流れて来たという出来事が目に浮かぶようによく分ります。
この歌詞の中では「夢」ということば以外は抽象的な言葉は見当たりません。
この歌詞は如何に具体的に書くかの大切さの見本のような歌詞だということを、私たちに教えてくれています。
その他に話題となっていた曲
秋元氏とたくろう氏の対談のなかには、他に以下のような歌が話題として出ていました。
・ルビーの指輪(寺尾聰作曲/松本隆作詞)
・路地裏の少年:浜田省吾
・青春の影:ピアノとハモンドオルガン(作曲:財津和夫)
・尾崎豊
・イーグルス「ホテル・カリフォルニア」
私も、You Tubeで確認してみました。「青春の影」は曲の出だしから歌が始まるのでイントロがいいという秋元さんたちの話には、少し違和感もあります。ただ、この歌は、明らかにビートルズの「ロング・アンド・ワインディングロード」のイメージで歌詞が作られて歌われているように思えます。インスパイアーされたのだと思います。
財津和夫氏は、半端ないビートルズマニアでしょうから。
「ルビーの指輪」は確かに印象的な強いインパクトのあるイントロではじまります。
「ホテル・カリフォルニア」は、言わずもがなで、すでに世界中にその素晴らしいエレキギターのイントロのメロディは轟いています。
尾崎豊の曲については、どの歌が話題になっていたのか聞きもらしました。機会があれば探してみたいものです。
浜田省吾の「路地裏の少年」はYouTubeでは、ライブシーンしか出てこなかったのでそれが、アルバムのイントロ部分とどう違っているのかが解りませんでした。これも機会待ちとします。
私のイントロ押しの曲紹介
イントロと言えば、私にもイチ押しのイントロ曲があります。
・聞こえるかい (作曲:西岡恭蔵、作詞:KURO)
・北の詩人 (泉谷しげる 作詞:作曲)
・アイ&アイ (加川良 作詞:作曲)
私の押しの意味はライブバージョンではなくて、スタジオアルバムの収録曲のイントロを意味します。もちろん、イントロだけではなく楽曲全体の出来栄えも最高のものです。したがって、YouTubeのライブシーンなどは、必ずしも一致しません。
・ピートルズが教えてくれた (作詞:岡本おさみ、作曲:吉田拓郎)
・落陽(作詞:岡本おさみ、作曲:吉田拓郎)
※これは、主に73年リリースのライブ版でのイントロを推薦します。これは珍しく、ライブバージョンにあるイントロのいい曲です。あわせて、岡本おさみ氏(故人)の歌詞のすばらしさにも注目ください。


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