ブルースはお好きですか?
私はジャジー(ジャズ風)なブルースなども好きです。西岡恭蔵氏のパラダイス・カフェやポートメリー・スー等、既にこのブログで紹介済かも知れませんが、いずれもジャズ風なブルース?です。
私の好きなミュージシャンは大概、それなりにブルースを唄っています。ですが、私がブルースの定義とは何かを詳しく知っているわけではありません。試しに検索してみると、割とコードが決まっているような説明がありました。
しかし、そのブルースコード進行に関する詳しい説明も理論的なことは私にはよく分かりせん。ただ、聞いていてこれはブルースだと感じるものはあります。テンポやメロディが何気に人間的なんだな。
ピアノとクラリネットのアレンジで歌うパラダイス・カフェのあのジャジーな歌声にしびれるような感じが病みつきになるのです。そこにイメージされる人間像は割と共通しているようにも思われます。
それは、半ば適当に行き当たりばったりで生きてきた男や女たちのやや酸っぱめの人生感で、若くてまだこれからのイケイケ人生の乗りとは違って、すでに相当にくたびれた人々の昔話的な乗りみたいなものを感じます。
ですから、そんなキャラクターの男や女がたくさん登場します。そんな人間像の歌詞のキャラ設定の妙というものも面白いものです。ここでは、古井戸という昔のフォークデュオの歌った「飲んだくれジョニイ」と「黄昏マリー」の二つの唄を紹介します。
古井戸の「飲んだくれジョニイ」と「黄昏マリー」
飲んだくれジョニー 中井戸麗市 作詞・作曲
舞台袖に 酒がしこたま用意され
飲んだくれジョニイが 舞台へ出てゆく
彼女の唄を 二人のために
ブルースを ブルースを
奴は 今夜もやる親方は心配顔で 呆れてる
明日は奴の首 切ってやろうか
おふくろの唄を 遠い夜空に
ブルースを ブルースを
奴は 今夜もやる明日はどの街 どの面さげて唄う
飲んだくれ ジョニイ舞台中の灯りは 残らず落とされ
飲んだくれジョニイは 舞台を降りてく
今夜の宿は 彼女の胸
子守唄で 子守唄で
奴は夢を見るのさ明日はどの街 どの面さげて唄う
飲んだくれ ジョニイ
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「uta-net」で聞けるようです。お試しあれ
https://www.uta-net.com/movie/29075/
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「飲んだくれジョニイ」のタイトルからして、すでにどうしようもないアル中オヤジのキャラがドカーンと立っている歌詞です。しかもそのオヤジはもう相当に老け込んだブルースシンガーなのです。
舞台袖に 酒がしこたま用意され
飲んだくれジョニイが 舞台へ出てゆく
出だしのたったの2行でこの歌の全体イメージは完成しています。それだけこの2行がパワーフレーズとして、強烈な効果を発揮しています。
雇い主の親方は、彼が歌う様子を呆れながらもハラハラしながら眺めているのです。飲んだくれて唄う彼が、いつ舞台の上でぶっ倒れたりしないか心配なのです。
古い酒場には、よく見かける人物のキャラクターですね。昭和の匂いもプンプンしてきそうです。若いこれからのシンガーを目指す皆さん、あなたもこんな強烈キャラクターソングでブルースを歌ってみてはどうでしょうか。
黄昏マリー :中井戸麗市 作詞・作曲
私さっきからひとりぼっちで
この薄汚れた
酒場でお酒飲んでるわ
約束の時間まで
まだまだあるから
たむろしてる男達が
からかい半分囁いてる
あの女何処の女か
私 何処から来たかなんて
知らないわ
頬紅の色は港の女
サンフランシスコ
髪の赤さは街の女
通り過ぎてく春を
下町のアパートの窓で
私 泣いたり笑ったりして
きただけよ風が吹いたら 消えちゃいそうな
私だけの悲しい気持
お酒に飲んでるわ
約束の時間まで
まだまだあるから
頬紅の色は港の女
サンフランシスコ
髪の赤さは街の女
通り過ぎてく春を
下町のアパートの窓で
私 泣いたり笑ったりして
きただけよ私さっきから独りぼっちで
この薄汚れた
酒場でお酒飲んでるわ
約束の時間まで まだ少しあるから
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YouTube にこの歌「黄昏マリー」を歌う古井戸の動画は、発見できませんでした。ただ、アルバム「酔醒」の全体が上がっていたようですから、其の中の1曲としてこの「黄昏マリー」も聴けるかも知れません。
他には、じゅげむ?さんという方のカバーが出ていましたが、やはり私としてはオリジナルのアレンジで古井戸の歌うそれを聴いて欲しい気がします。
さて、歌詞の内容を見てみましょう。「薄汚れた酒場」でもう若くはない女が一人で酒を飲んでいる姿は、もうすでに「訳ありの女」感がプンプンしています。
そして、その頬紅や髪の赤さが、その場に似つかわしくない派手な風情で、その存在が場所柄に馴染みにくいかなり浮いた感じなのです。
だから、日頃からそこをねぐらにしている野卑でどうしようもないような男達の好奇の眼の対象となり、厭らしい詮索のまなざしに晒されているのです。
やはり、この歌も濃いキャラの男女が絡み合う光景をモチーフとした歌です。これが、ブルースの世界の一つの典型と言えるものかもしれませんね。私は好きです。
歌詞に登場してくるキャラが立ってくると、同時にドラマとしての背景が立ち上がってくるものです。そこに面白い人生描写にも成りうるような面白さを感じませんか。私は感じます。
ブルースには、どこか血の通った底辺暮らしの人たちの温かい人間像が感じられる。そこがいいのではないでしょうか。唄の歌詞作りの勉強のためにも、あなたもブルースを一つ作ってみませんか。
作詞の鉄則のおさらい
これまでに、70を超える記事を書いてきました。ですから、私のブログの読者の方であれば、私が何を言わんとしてきたのかが、だいたいのところ理解していただけると思います。
ですが初めてこの記事を読んだとか、初心者の方にはまだ、私の言わんとする真意がよく分からなかったりすることと思います。さらには、読者の方であっても、ここでさらっと項目だけでもおさらいするというのはどうでしょうか。
そして、初心者の方で「エッ?」と思った人はそこからあらためて、私の書いた別の記事も読んでみてください。読めば読むほど、作詞に関する法則のようなものが見えてくると思います。
あなたが、作詞を目指すならばきっと役に立つはずです。例えば、今回の記事のテーマのようにブルースの歌詞にチャレンジしてみるのも、きっといい題材になることでしょう。
では、以下に作詞殺法というものの項目だけいくつかのせて見ます。初心者のあなたは、ここからがすべてのことの始まりです。これは、無料の講座ですから何度も読んで、使い倒してくだされば幸いです。
鉄則を思いつくままに
■自分の思いを歌詞に綴るだけの歌詞は、他者に覚えてもらえるほどには伝わらない。そこには影像がないからである。だから、歌詞として自分の思いを前面に出してはいけない。
■何か、格好のいいフレーズを思いついたとしても、それは自己満足の俳句に似て、つまらない表現だったという場合は多い。
■歌詞に「時間的奥行」と「空間的広がり」を意図的に持ち込むと、作品がドラマ的に大きく膨らむ。
■映像表現を駆使したドラマ(ストーリー)メイクこそが、聴く人のイメージを呼び覚ます。合わせてカメラワークも意識しよう。
■パワーフレーズとしての言葉選びを考える。フレーズのまとまりや行数・文字数は出来るだけ短くして、むしろリフレイン効果を狙った方がいい。
□その他、省略
これらの鉄則をよんで、「あれ-っ」とか「えーっ」とか「自分のやり方とは全然違う」とか思った人は、このブログの他の記事をつぶさに読んでみてください。きっと収穫があるはずです。
では今日はここまで。


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